「そっち行ったっ」 ピアニィの羽毛が散る。身を翻して一声上げた怪鳥に向けて、焔弾が六発打ち込まれた。  Λ 瓦解せる 異教の 足音 「行き成りそっち行ったとか云われてもさ、こっちは回復中だし如何しろって云うのさ」 「だから御免って」 レイルが双剣を鞘に仕舞いつつ自らの腕にリプスを掛ける。 革のグローブを着けた指先から彼女の髪色と同じシャルトルーズグリーンの光を孕んだ風が舞い起こり、 怪鳥の嘴に掠めた傷を癒していく。 一方銀臼はと云うと、謝りながらも前方十五秒の所に宝箱を見付けて走り出している。 アイボリーに金縁の鎧が細剣の鞘に当たってガチャリと音を立てた。 「ちょっと、反省しろっての」 一人先へと急ぐ銀臼を追ってレイルも走り出した。その後を追う、アリス。 「まぁ良いではありませんか、戦闘不能にはなりませんでしたし」 そう行って彼女も又、聖杖を抱えて駆け出した。 ヒヤシンスのロングローブが緩やかに棚引き、ターコイズブルーのロングヘアが其れに続く。 「しっかし、ダンジョン内ってやたら暗いと思わない、」 髪と同じチャイニーズレッドの睛を窄ませて銀臼が零した。 確かに地下遺跡でもあるこのダンジョンには篝火なども少なく、 元々睛の悪い彼女にとっては宝箱を探す丈でも頭の痛くなるような大仕事となるのだった。 やっきになってトレジャーハントをしなければ良い、と、此れはレイルの台詞。 アリスはこの件に関しては、自己責任としかコメントしていない。 「じゃ、もう街戻ろっか、」 レイルが伸びを一つし乍ら言った。元来修行の為に入ったダンジョンであったし、そろそろ約束の時間だ。 「そうですね、後の三名もそろそろいらっしゃる頃ですし」 アリスが土笛を手に取って言った。 「え、ちょっと待って、もうちょっと」 銀臼の講義の声丈が冷たい石壁の大広間に残された。地下遺跡は再び鉄納戸の静けさを取り戻す。

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