コンコンとノック音がする。
「お話は終わりましたか?」
入って来たのはコーマだ。
「はい」
「それでどうなさいますか、これから」
「行きます。オレ達に何が出来るか分からないけど・・・
 でもきっと何か出来るよ思うんです。だから」
コーマがゆっくりと微笑む。
「そうですか、分かりました。
 私も出来る限りお力になりたいと思います」
そう言うと頭を下げた。
「あ、こちらこそ」
「よろしくお願いします」
「しますっ」
それぞれ頭を下げ、緊張していた空気が和んだ。

薄暗い階段を、コーマ、玲、愁、葵夏の順で下りて行く。コツコツと足音だけが響いた。
階段は、地下に向かってまだまだ続いている。
ぽつりと玲が呟く。
「長い」
「そりゃあ長いだろう。あの屋敷の地下なんだ」
半分呆れモードで愁が言った。
「来たいと言ったのはお前だろう?」
「ゔゔ〜」
そう。冒険といえば武器という事で、明日家にある武具を渡すと言ったコーマに無理を言って、
すぐにコーマの屋敷地下にある武器庫へ案内してもらっているのだ。
「郁野を見てみろ。弱音の1つも言わないぞ」
「コーマ、後どれくらいかかる?」
「聴けよ!」
「そうですねぇ」
ちらと下を見るコーマ。
「後1・2分程度です」
「へぇー、1・2分・・・ってえぇっ!?」
玲が驚愕の声を上げる。
「だってまだあんなにキョリあるじゃん!」
確かに、指差す先には長い螺旋階段。底どころか階段の途中からすでに見えなくなっている。
「ここは外とは少し違うんですよ」
「チガウ?」
コーマの言葉に首をかしげる玲。
「はい、時間の流れが違うんです」
「へぇーーー」
ほぼ2分で、コーマが言った通り4人は底に着いた。
コーマが重そうな扉に触れた。すると、ギィィィッと音をたてて、扉が開き始める。
「さぁ、行きましょう」
驚く玲達に微笑み、コーマが扉の中に3人を招き入れた。

コーマが何かを呟く。
ポウッと光が部屋全体に広がっていく。
「うわーっ」
地下室はとてつもなく広かった。
大きな棚が陳列され、その中に沢山の物―――武器以外にも、本や何かの道具など―――が入っている。
「すっげー!」
玲は目をキラキラ輝かせ、興味津々に歩き回る。
好奇心だらけの玲にとっては、通常危険とされる武具ですら新しいオモチャなのだろう。
愁や葵夏も、玲ほどではないが少なからず興味深そうに棚を覗き込んだ。
「んっ?」
玲が急に立ち止まる。
そこは半開きになった扉の前だった。なぜだか、誰かに呼ばれたような気がしたのだ。
「失礼しまーす」
誰に言っているのか分からぬままに言い、扉をくぐる。
中はガランとしていて、月明かりのような冷たい光が差している。
キイン
小さな音が響いた。それに導かれるように、玲は上を見上げる。
「・・・・・・!」
驚きで目を見張る。
玲が見たモノ、それは宙に浮かぶ一振りの剣だった。 
 



















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