『ティリリン♪』
突如携帯電話の着メロが流れた。
「あ、メール?」
「そーみたい」
そう答えて、ロングヘアーの少女はハンドバッグからピンクの携帯電話を取り出した。メール画面を見ると・・・
「何ィ、それ」
パッ
「あぁっ」
ショートヘアーの少女が横からそれを取り上げる。
「もぉ〜、いっつも人のメール覗いてぇ」
「いいじゃん、カレシの居ないミキのだし」
「ふーなもカレシ居ないじゃん!」
ロングヘアーの少女―――ミキ・向井美希の言葉を無視して、改めて携帯電話を覗き込むショートヘアーの少女―――ふーな・郁野葵夏。
「えっと・・・
『初めまして向井美希様』・・・って、名前でてるよ?」
「いーから返してよっ!」
バッ!
葵夏から携帯電話を奪い返して画面の文字を読み直す美希。
確かに、自分の名前が載っている。
クラスか塾の誰かかとも思ったが、内容はゲームの紹介のようだ。しかも業者名も入っていない。
「ア・・・アヤシイ・・・」
「ゲーム?」
何時の間に内容を見たのか、葵夏が訊いてくる。
「うん。誰だろ?業者っぽくもないし」
「やらして」
イキナリ葵夏が言い放った。
「・・・え」
「だってさぁ、ミキってあんまゲームとか興味ないじゃん?アタシケータイ禁止令出てるし・・・
お金掛かるなら払うからさ」
(そういえば、ふーなって結構ゲーム好きだったっけ)
だが彼女は、一度した約束・・・特にマネー関係の事はすっぽかす傾向にある。
「う〜ん・・・」
「じゃ、決まりね」
パッ
美希が悩んでいる傍から、葵夏はまたも携帯電話を取り上げた。
「YvEvS、と、よし!」
『ピロリン♪』
「えっ、ちょっと・・・」
美希が慌てて言い掛けた時、携帯電話から光が溢れ出した。
「!?」
呆然とする美希。
「ナニナニナニナニナニナニナニナニナニナニィ!!??」
驚く葵夏。
萌木大通りで立ち話していたオバチャン達やら、犬の散歩をしていたオニーサンやら、2人と同じ浅高の先輩やらも一斉にこちらを向く。
(眼、開けてらんないっ!)
思わず眼を閉じると光が段々弱くなって・・・
美希が眼を開けた時、右側に居たはずの葵夏の姿はどこにもなかった。
「・・・ふーな?」
周りにはいつの間にか野次馬が溢れ、警察まで来て騒がしくなっていたが、そんな事は気にならなかった。
「ふーーーーなっ!!」

―――ん―――っ
(えっと・・・何が?)
葵夏が気付いた時、眼の前には『中世ヨーロッパの田舎ってカンジ?』の風景が広がっていた。
「ハイ?」
(えーって、マジで何がどうなって・・・?)
「郁野?」
不意に背後から聞き覚えのある声がした。咄嗟に振り向くと、声の主と、思ってもみなかった人影があった。
「蒼樹・・・と萩原クンv!?」
 


























 
 
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