今現在此処に、否此処でない何処かにも存在している全ての生物は 当たり前の様だが生物学的に生きている。 其の体内では微生物が蠢く。 其の器官内では菌類が糸を張る。 ばらばらに引き裂かれた細胞も、細胞単位でなら生きている。未だ。 其れは其の内に何時か死ぬと云う事。 僕も、 父も、 蜜蜂も、 メタセコイアも、 平滑筋も、 プラナリアも、 紅天狗茸も、 鴎も、 椿も、 ポチも、 宇宙人も、 君も、 其れは今此処に居ると云う、たった一つの事実のたったひとつの理由。 始まりの始まりは終わりの始まり。 今此処に、否此処ではない何処かにも今も密かに息づいている全ての生物は 仮令其の自覚がないとしても絶対的に生きている。 其の体内には幾千の生物が飲み込まれる。 其の器官内には幾億の有機物が取り込まれる。 ぎっしりと繋がれた細胞も、固体認識の上ではまとめて一つである。未だ。 其れは其の内にきっと死ぬと云う事。 お題:「生」
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