蜘蛛の巣の張った暖炉の灰を

               火箸で掻き出し、掻き出し、

               埃に埋もれて現れたのは

               あの日の貴女の硝子の靴


               その薄い靴底ではターンなどし難いでしょうに

               その細い踵ではステップなど踏み難いでしょうに

               貴女は私との一夜の為に

               背伸びをして、心焦がして

 
               貴女を忘れる為に燃やしてしまいたかったのに

               今になって

               灰に塗れても輝き失わず

               現れたのは

               あの日の貴女の硝子の靴







                                             お題:ガラスの靴












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