立羽
久しぶりに、マキューに帰ってきた。
先ずお母さんに「ただいま。」って言わないと。
村は、何処も変わっていない。
唯サイハとリリムはマキューに来るのは初めてで、
家に寄った後村を案内しようと思った。
「ただいまーっ。」
「あらナンナ、お帰りなさい。」
―――何か、又仲間が増えたんじゃない?」
「うん。
此方がサイハで、其方がリリム。」
「初めまして、」
「ヨロシクお願いしま〜すv」
「此方こそ。
其れにしても困ったわ。
何にも連絡寄越さないんだもの。何も用意してないわよ。」
「あ、いえお構いなく。」
ロトが手を横に振る。彼の癖だ。
「そんなわけにはいかないわ。
―――少し村を回って来なさいよ。
ご馳走、作ってるから。」
「本当ですかっ!?」
「コラ。」
ファイドは眸を輝かせている。美味しい物にはとことん弱いのだ。
其れを諫めるキーチェス。
ゾルは、相変わらず無言だ。
ふふっと笑ってから、そう云えば、とお母さんが又口を開いた。
「ゼロットさんは如何したの?」
―――一瞬、嫌〜な空気が漂った。
お母さんも、訊いてはいけなかったのだと悟った様だった。
暫くしてサイハが答えた。
「―――亡くなりました。
つい、五日前に。」
そう、とお母さんが呟く様に言う。
「じゃあ、外行って来るね。」
「ナンナ、」
扉に手を掛けたあたしを、お母さんは呼び止めた。
「何?」
「―――お向かいのチルちゃん、居たでしょう。」
「うん。」
「―――チルちゃんも、二週間前に亡くなったの。」