小灰 放課後。 放課後とは言い切れないけど、未だ夕方でも夜でもない時間。 昼でもない。 制服で、学校指定のダサいバッグを背負って、 翔の遊びの誘いも断って。 ゲーセンに行く金も無い。 ―――所持金、百二十円。 否、学校の行く途中に拾った五円を足して、百二十五円。 其の百二十五円で、百二十円の切符を買って、 電車に乗る。 未だ夕方でも夜でもない、微妙な時間。 其の所為か、入った車両には俺意外に女の人が一人。 未だオバサンにはなってない、微妙な歳。 お姉さん、とは、間違っても呼びたくない。 百二十五引く百二十は・・・遣り難い。 125−120=5 所持金、五円。 ふと気付く。五円じゃ帰りの切符が買えない。 其の儘電車に乗っていれば良かったけど、 気付いたのは改札抜けた後。 未だ夕方でも夜でもない時間。 線路の横に伸びる細い道。 此処を通れば、夜には帰れる。 ―――どうせ部活をサボった身。 夜になろうが、親は「部活で大変だった。」の一言で即納得。 暫く歩いた後、駄菓子屋発見。 思わず五円チョコ購入。 5−5=0 サイフ空っぽ。 所持金使い果たして買ったチョコ、 そう考えると少し勿体無くて、ポケットに突っ込む。 又暫くして、 目の前に子供が一人現れる。 手には5円チョコの包み。 ―――足元に、五円チョコ。 落とした、か。 立ち尽くす子供。 思わず、声を掛けた。 「おい、」 振り向く子供。 俺の手には、五円チョコ。 「―――やるよ。」 「知らない人から、お菓子貰っちゃいけないんだよ。」 子供、即答。 「なら、いいや。」 なんて言って歩き出す。 ―――ちょっとショック。 「ま・・・待って。」 先の子供が、未だ俺を見ている。 「何だよ、」 「やっぱり、頂戴。」 もう夕方。
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