いぶし銀の大気の中に   籠城を決め込んだ曙の宵   白磁のヒフを持たない私は   俄にさざめきだす青さを憂いた   他のモノは透明に見える   ヘリオトロープの花が咲いている   鴇の啼く声がする   違う、あれは密やかに   林檎の果実が熟れる音   盗んで来たサファイアは何処に行った?   ルビーの欠片なら体内にある、と云う事   を、知っていて、しかし本当に欲しいのはエメラルド   私の想いは   乾いた水で洗い立て   四つん這いで千歳の道を探ります   魂の潔白を求めます   劣悪な曇天の鴉   そんなもの、微塵も気にせず、   常にうつ伏しに進み続ける事を誓います   眠り姫の薔薇色の頬は   長い長い眠りにおいても褪せる事がないのである   ラップして冷凍して保存して解凍した美しい肌!   無理矢理に胡桃の煮汁で味付けを   熟れた林檎が落ちる音   いぶし銀の空気   の、中の、ヘリオトロープ   お伽噺は五色の織物に固定され   腐って枯れてどろどろに熔けて蒸発した   やがて実になる芥子の種   まだ青い   敬虔な淑女はガーターベルトを締めて   不甲斐ない紳士のガンを踏みつける   コメディの後には一杯の紅茶を   エンターテイメントに黴臭さは付き物だ   天上におわす某よ!   嗚呼、何と無情なる青さよ!   咲き乱れるヘリオトロープ   昨日の私はあの青の向こうに   揺るぐ事なき青の向こうに・・・   目に見える他の全ては透明に見える、と言ったら   見える全てが真っ青よりはマシだ、と答えた   静かな白く細い指   えぇ、そうですね、藍鼠のグラスアイ   日増しに褪せる白皙の頬   若し此れが私の肌だったら、   世界は、   全ては本当に退屈なほどまっさらだったろう、と思う  
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