玻璃結晶の葉が舞い上がる 二枚貝は其の紅色の内殻を羽撃かせ 銀鱗を散らして翼根魚が宇を駆ける 宇は可惜夜の香を漂わせ やがて 真夏の聖夜が訪れる 此の手に落とされた君の睛を見て 嗚呼、ヤハリ君ハ僕ヲ見テイナイネと 少しばかり僻みっぽく 僕は僕の掌を切った 玻璃結晶の葉が舞い上がる 紅蝶は其の銀鱗を散らして可惜夜を駆ける 地に落ちて紅玉が弾け跳ぶ 藍玉はと云うととぷんと泉に沈み やがて 宴の聖酒が出来上がる 此の手に落とされた君の睛の跡を見て 嗚呼、ヤハリ君ハ僕ヲ見テイナインダネと 少しばかり口惜しく 僕は君の手の先を切った 切り落とした ほら、此れでもう美しい物はなくなった 君の指、僕はとても好きだったのに もうないんだね 玻璃結晶が地に落ちて弾け跳ぶ 可惜夜に君は やはり僕を見て呉れなかった
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